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個人事業主はなんでも経費にできる?|経費にできる・できない支出と5つの注意点とは

個人事業主は「なんでも経費で落とせる」と思われがちですが、実際には明確なルールがあります。
本記事では、経費にできる・できない支出の具体例、家事按分の考え方、税務調査を避けるための5つの注意点を税理士監修レベルでわかりやすく解説します。

目 次
  1. 個人事業主はなんでも経費にできる?
  2. 経費にできる支出の具体例
  3. 経費にできない支出の具体例
  4. 個人事業主が経費計上時に注意すべき5つのポイント
  5. グレーゾーン支出の判断基準
  6. よくある質問

個人事業主はなんでも経費にできる?

個人事業主は「経費にすれば税金が減る」と聞いて、つい何でも経費にできると思いがちです。しかし実際は「事業に関連し、証拠が残り、合理的である」ことが求められ、無条件に全てが認められるわけではありません。
ここでは、まずよくある誤解を正し、経費として認められるための基本的な考え方をはっきり示します。
税務署が見るポイントと、実務で押さえるべき最低限のルールを最初に理解しておくことが、後のトラブル防止につながります。

「経費で落とせばお金が返ってくる」は誤解

「経費にすればその分お金が戻ってくる」と考えるのは誤解です。

経費に計上することで減るのは課税対象となる所得であり、結果として納める所得税や住民税が減る可能性がある、という点が正確な理解です。たとえば支出が増えて利益(課税所得)が下がれば、税額は下がりますが、支出そのものがキャッシュとして返ってくるわけではありません。

つまり、経費は税負担を下げるための手段であって、現金を回収する仕組みではないことをまず理解しましょう。経費を増やして税額が下がっても、手元の現金が減るなら短期的には資金繰りを圧迫するリスクがあります。

経費の本来の定義とは?

経費(必要経費・損金)は、事業の遂行に直接必要な支出であり、収入を得るために通常かかる費用を指します。ポイントは事業との因果関係があることです。単に支出したという事実だけでなく、その支出がどのように事業に結びつくかを説明できることが求められます。

加えて、経費として計上するためには証拠(領収書や請求書、取引の内容を示すメモ等)の保存が前提です。税務署は「なぜその支出が事業上必要なのか」を第三者の視点で確認できるかを重視します。つまり、単なる私人の出費や生活費とは明確に区別できることが必須です。

経費として認められるための3つの条件(事業関連性・支出の証拠・合理性)

経費として認められるために実務上確認される代表的な条件は次の3点です。

  1. 事業関連性:その支出が業務遂行や収益獲得に直接結びついているか。例えば顧客訪問にかかる交通費や業務用パソコンの購入費など、業務のためであることが明確な支出は該当します。
  2. 支出の証拠:領収書、請求書、契約書、日付と目的を記したメモなど、支出が発生した事実と目的を証明できる書類があること。特にグレーな支出は詳細なメモが判断材料になります。
  3. 合理性(常識範囲):金額や頻度が業界慣行や事業規模に照らして過度でないこと。極端に高額な支払いを一方的に経費計上すると、税務調査で否認されやすくなります。


これら3つが揃っていれば、税務上も実務上も経費として説明可能になりやすいです。逆にどれか一つでも欠けると、経費として認められないリスクが高まるため、計上前に必ずこの3点で自己検証を行いましょう。

経費にできる支出の具体例

個人事業主が経費として計上できる支出は、事業の内容によって異なりますが、「業務に必要であること」が前提になります。
ここでは日常的に発生するものから、売上拡大につながる支出、さらに家事按分によって一部を経費とできる支出まで、具体的に整理していきましょう。

日常的に経費にできる定番項目(通信費・交通費・消耗品費など)

個人事業主にとって、業務の遂行に欠かせない日常的な支出は経費として認められやすい代表例です。たとえば、スマートフォンやインターネットの通信費は顧客とのやり取りや情報収集に使うものであり、事業利用の割合を考慮して経費にできます。また、商談や仕入れのために公共交通機関を利用した際の交通費、事務用品や文具などの消耗品費も典型的な経費項目です。

これらは業務に使っていることが明確であるほど、税務署からも疑問を持たれにくく、証拠としてレシートや請求書を残すことでスムーズに経費処理できます。

売上拡大に関わる支出(広告宣伝費・交際費など)

売上を伸ばすための活動に関する費用も経費に計上可能です。代表的なのが広告宣伝費で、ホームページの制作費やリスティング広告、SNS広告などが該当します。また、顧客や取引先との関係構築のための交際費も認められます。たとえば、商談時の軽い飲食や贈答品の購入費などです。ただし、過度に高額な飲食や頻繁な接待は「私的支出」とみなされるリスクがあるため、支出内容・相手・目的を記録しておくことが重要です。

このような支出は売上との関連性が明確であるかどうかが判断基準になります。成果が見えにくい支出ほど、使途の説明やメモを残しておくことが大切です。

家事按分で一部経費にできるもの(自宅・車・光熱費など)

自宅兼事務所で仕事をしている場合や、プライベートと業務を兼ねる資産を持つ場合は、「家事按分(かじあんぶん)」により一部を経費に計上できます。たとえば、自宅の家賃や光熱費、電話代、車の維持費などが該当します。按分の割合は、事業に使っている時間や面積、利用頻度などをもとに合理的に算出します。

たとえば、自宅の一部を事務スペースとして使っている場合、その面積割合や業務時間帯を基準に按分率を設定するのが一般的です。ただし、根拠なく高い割合を設定すると税務調査で否認されるリスクがあります。したがって、算出根拠をメモに残し、領収書とともに保存しておくことが大切です。

経費にできない支出の具体例

「これも経費にできるだろう」と思って計上してしまい、後で否認されるケースは意外と多いです。
ここでは法律や税務上、原則として経費に認められない支出や、誤解されやすいグレーゾーンの支出について具体的に解説します。

プライベートな支出(衣服・日用品・食費など)

事業とは関係のない生活費や個人的な支出は、どんな理由をつけても経費にはできません。たとえば、私服として着るスーツや普段使いの衣類、家庭の食費、日用品などが該当します。

一見すると「人前に出る仕事だから服は必要」「自宅兼事務所だから家の掃除用品も必要」と考えたくなりますが、これらは“事業専用”であることが証明できないため、原則経費にはなりません。事業との関連性を客観的に説明できない支出は、すべてプライベート支出と見なされると考えておきましょう。

税金・社会保険料など、法律で経費にならないもの

税法上、「必要経費にできない」と明確に定められている支出もあります。たとえば、所得税・住民税・国民年金・国民健康保険料などは、個人の義務として支払うものであり、事業経費としては認められません。

また、罰金や延滞税などの“制裁的な性質を持つ支出”も同様に経費にはできません。これらは事業活動のために必要な支出ではなく、個人としての責任による支出と見なされるためです。

一方で、従業員分の社会保険料や、会社員を雇って支払う源泉徴収分は経費に含めることができます。誰のための支出か、という点を区別することが重要です。

趣味・娯楽・家族関連の支出は“グレーゾーン”

趣味や家族との支出が事業に関連しているように見える場合、判断が難しい「グレーゾーン」になります。たとえば、写真撮影が必要なデザイナーがカメラを購入した場合や、家族が事業を手伝ってくれる場合などです。

このようなケースでは、「業務上必要であることを説明できるか」が鍵となります。カメラで撮った写真を実際に商品PRに使っている、家族に給与を支払い実際に業務を分担しているなど、明確な証拠があれば認められる可能性があります。しかし、実態が伴わない支出や名ばかりの“経費化”は、税務調査で指摘を受けやすい部分です。グレーゾーンは「使途と証拠の明確化」で回避できると覚えておきましょう。

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個人事業主が経費計上時に注意すべき5つのポイント

経費処理は「節税」のためだけでなく、事業の健全な資金管理と税務リスクの回避のために欠かせません。
ここでは実務で特に問題になりやすい5つのポイントを具体例とともに解説します。各ポイントは申告書類の信頼性に直結するので、日々の習慣として取り入れてください。

① 領収書・レシートの保存は必須

経費として認められるための最重要証拠は領収書や請求書です。出金日・金額・支払先・支払い目的が記載されているかを必ず確認し、不足があれば取引メモ(誰と何のために使ったか)を添えてください。紙の領収書は整理して保管し、スキャンして電子保存する場合はタイムスタンプ等の要件を満たすと税務上の扱いが明確になります。保存期間はケースにより異なるため(税務調査や更正の可能性を踏まえ)、目安として数年分を確実に残す運用を推奨します。

② 家事按分の比率を明確にする

自宅兼事務所やプライベートと業務で共用する資産は按分が必須です。按分は「面積比」「利用時間」「走行距離(車両)」など、合理的かつ説明可能な基準で決めます。たとえば自宅の一室を業務で使う場合は面積比で按分し、その根拠(図面・写真・業務時間のログ)を保管します。按分率は恣意的に高くせず、第3者に説明できる数値にすること。按分ルールは年度ごとに一貫して運用するか、変える場合は理由を記録してください。

③ 経費の過大計上は税務調査リスクを高める

短期的に節税を狙って経費を過大に計上すると、税務署からの調査や否認、追徴課税・延滞税の対象になります。特に高額な支出(海外出張、設備投資、高級接待など)は「業務上本当に必要か」「相場と比べて妥当か」を常に自分に問い、領収書だけでなく会議資料・見積書・受注履歴など関連する補助資料をまとめておくと安心です。税務調査時は「なぜその支出をしたか」を文書で説明できるかが争点になります。

④ 経費を使いすぎるとキャッシュフローが悪化する

経費は節税になる一方で、支出はそのまま手元資金を減らします。とくに個人事業主は資金繰りがタイトになりやすいため、税金還付や節税効果を見越して過度に支出を拡大するのは危険です。投資的な支出(設備、広告、外注)についてはROI(投資対効果)を簡単にでも計算し、資金繰り表に反映させる習慣を付けましょう。毎月のキャッシュ残高と年間見込み税額を照らし合わせて、無理のない経費計上計画を立てることが重要です。

⑤ 青色申告と白色申告でルールが異なる

青色申告は複式簿記で正確に記帳することで65万円(または10万円)控除が受けられるなど優遇がありますが、その分帳簿や証憑の整備・保存義務が厳しくなります。一方、白色申告は手続きが簡易ですが、節税面で不利になることが多いです。

経費計上の可否自体はどちらの申告でも基本的ルールは同じですが、青色申告を選ぶ場合は日々の取引記録をきちんと残すことで税務調査に対する防御力が高まります。申告方式の選択は事業規模や会計処理の習熟度に応じて検討してください。

グレーゾーン支出の判断基準

経費の中には「完全に事業用とは言い切れない」グレーゾーンが存在します。ここを見誤ると、税務調査で否認されるリスクが高まります。判断の基本は「客観的に業務と関係があるか」「常識の範囲で説明できるか」です。
ここでは、判断のための具体的な基準と、グレーゾーンを避ける実践的な工夫を紹介します。

「事業関連性」を説明できるかがカギ

経費の判断基準でもっとも重要なのが「事業との関連性」です。たとえば、セミナー参加費や書籍購入費は、業務知識を得る目的であれば経費にできますが、趣味や自己啓発の範囲とみなされると認められません。

税務署は、支出の「目的」「内容」「効果」を見て判断します。単なる出費ではなく、「売上向上」「顧客対応」「業務効率化」など具体的な目的を説明できるかがポイントです。説明が難しい支出は、経費に計上しないか、補足資料を添えるなど慎重な対応が必要です。

第三者が見ても納得できるか?の視点

支出の正当性を判断する際に有効なのが「第三者が見ても納得できるか」という視点です。自分では必要だと思っても、客観的に見て不自然な支出であれば否認される可能性があります。

たとえば、10万円以上の高級ディナーやブランド品購入などは、「その金額・内容が事業の必要性と釣り合うか」を第三者の感覚で判断しましょう。税務署の調査官もこの視点で支出を確認します。過剰・突発的な支出ほど慎重な記録が求められます。

グレーゾーンを避けるための記録・メモの残し方

グレーゾーン支出を経費として扱う際は、「なぜ必要だったのか」を文書で残しておくことが重要です。領収書の裏に「○月○日 顧客Aとの打ち合わせに使用」「Web広告用撮影で利用」など簡潔に記載しておくと、後から証拠として有効になります。

また、取引先・日付・目的をエクセルや会計ソフトにメモすることで、税務調査時の説明がスムーズになります。曖昧な支出ほど、証拠と説明の積み重ねで合理的な経費と認めてもらえる可能性が高まります。

よくある質問

個人事業主が経費を扱う際には、どこまで認められるのか、どの支出がアウトなのかといった細かい疑問がつきものです。
ここでは、特に質問の多いテーマをまとめて解説します。

個人事業主は本当に「なんでも経費」にできるの?

結論から言うと、「なんでも経費にできる」わけではありません。経費として認められるには、事業との関連性・支出の証拠・金額の妥当性という3つの条件を満たす必要があります。仕事に直接関係のない私的支出は、たとえ領収書があっても経費にはできません。

判断に迷ったら「第三者が見て納得できるか」という視点で考えるのが確実です。

コーヒー代やランチ代は経費で落とせる?

商談や打ち合わせなど、業務目的が明確であれば経費にできます。たとえば「取引先との打ち合わせでカフェを利用した」場合はOKです。ただし、自分一人のランチや休憩時のコーヒー代は私的支出とみなされます。領収書の裏に「○月○日 顧客Aとの商談」など、目的を一言メモしておくと税務署への説明がスムーズです。

トイレットペーパーや生活用品は経費になる?

原則として生活用品は経費になりません。ただし、自宅兼事務所などで「業務スペース専用に使用している部分」がある場合、その範囲で家事按分すれば一部を経費計上できます。たとえば事務スペースのトイレに限定して使用している場合、その分のトイレットペーパー代を按分対象にすることは可能です。重要なのは「業務利用の根拠を説明できるか」です。

家族への給与は経費として認められる?

家族が実際に業務を行っており、労務の対価として妥当な金額であれば経費にできます。ただし、形式だけの給与支払いは認められません。仕事内容・勤務時間・支給額を明確に記録し、必要に応じて「青色事業専従者給与」として届け出を行う必要があります。

一方で、手伝い程度の不定期なサポートに対しては給与計上せず、謝礼や外注費などの別形態で処理するほうが適切です。

経費を増やせば節税になるの?損はしない?

経費を増やすと一時的に税金は減りますが、支出が増えるため手元資金は確実に減ります。たとえば10万円の支出で節税できるのはせいぜい2〜3万円。残りの7〜8万円は出費です。

「節税のために無駄な支出をする」のは本末転倒であり、経営を圧迫する要因にもなります。節税よりも、利益を確保して健全な資金繰りを維持することを優先しましょう。

経費をグレーゾーンで処理した場合のリスクは?

グレーな支出を無理に経費に入れると、税務調査で否認される可能性が高まります。否認されると追加納税・延滞税・過少申告加算税などが課される場合もあります。リスクを避けるには、支出の目的や内容を記録し、合理的な根拠を残すこと。少しでも迷う支出は、税理士など専門家に確認するのが確実です。

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PROFILE

星 拓登
星 拓登
株式会社インターパーク/SUBLINEプロジェクトリーダー・マーケティング担当
中途で株式会社インターパークに入社。
仕事で使う050電話アプリSUBLINE-サブライン-のカスタマーサポート担当としてアサイン。
カスタマーサポートを経て、現在は事業計画の立案からマーケティング担当として事業の推進・実行までを担当。
過去、学生時代には2年間の海外留学を経験。
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